LIAR GAME (1〜4) ★★★

LIAR GAME 1 (ヤングジャンプコミックス)

LIAR GAME 1 (ヤングジャンプコミックス)

バカ正直女の子のナオは、謎の組織から1億円を送りつけられ、それを指定の相手と奪い合うことを指令される。
弁護士には相手にされず、対戦相手に騙され1億円を奪われたナオは、刑務所から出所直後だった詐欺師アキヤマに助けを求める…
 
最初は対戦相手が一人、金額も1億円ですが、勝ち抜くことによってルールは複雑化していきます。
基本は心理戦、そしていかに必勝法を探るかというのが鍵になってきます。
もちろんバカ正直なナオはそんな勝負に勝てるはずもなく、すぐにアキヤマに泣きつくわけですが…
 
やっていることは、カイジの限定ジャンケンそのものです。
チームを作ったり、後で金を渡すと持ちかけてわざと負けてもらったり。
騙し合いなので性根の悪い奴がたくさん出てきますし、多少気分を害します。
あまり得意ではないですね、こういうのは…
カイジが面白かったのは、あの戦略もありますが、怒涛のけなし合いが凄かったからじゃないでしょうかね。
一度騙した相手を精神的にとことん追い詰めるあの迫力、こいつだけは地獄に落としてやろうという悪意を主人公が持つということがある意味新しかったんだと思います。
ライアーゲームの主人公ナオはその間逆で、騙されても罵倒されても性善説を信じているような子で、ちょっとイライラしますね。
まあ段々かわいく見えてくるから不思議なもんですが。
  
悪い点というか、物足りなく感じてしまうのは、絵のせいもありますが、余りに淡々としているので驚くような作戦でもあんまり驚けないところです。
ふーん、そうなんだーと丸っきり他人事に見てしまいます。
こういう「見せ方」というのは非常に重要で、画力というのは絵自体の上手さではなく、
そういった作者が一番アピールしたいポイントをいかに伝えられるかというのが上手いか下手かの差になります。
ちょっと物足りないかな、この作品に関しては。

岳 (1〜11) ★★★★

岳 (1) (ビッグコミックス)

岳 (1) (ビッグコミックス)

山岳救助のお話です。
人々が山に登る理由はそれぞれで、主人公の三歩は彼らの思いを全て受け止め、必ずこう言います。
「よく頑張った!」
 
1話完結形式で、色んな思いを抱えて山に登る人々と、救助ボランティアの三歩、新米救助隊員のクミの交流を描きます。
1話完結なので大きなストーリーはないのですが、これは三歩の超人的な活躍を描くと同時に、クミの成長を描くのがメインとなっています。
女性隊員のクミは三歩のように人を担いで山を降りることもできず、先輩たちの厳しい判断に対して、感情でそれを拒んでしまいます。
三歩はいつもそんな彼女をフォローし、間違った判断をしても、「よく頑張った!」と褒めてくれます。
そうやって失敗を繰り返し、山の怖さを知り、同時に山に登る人たちの気持ちを理解していくクミのことがかわいくて仕方ないんだろうなーと感じます。
 
この作品は、3話に1回くらいのペースで人が死にます。
そりゃそうですね、崖から転げ落ちたり、雪山で3日も遭難してれば人は助かるはずはないのです。
そこで奇跡のようなことが起こらないところが、この作品の良いところであり、悪いところです。
良いところは、ひたすらリアルで、だからこそ伝わる人々の思いの深さを感じることができるところです。
悪いところは、救助隊の話なので仕方ないのですが、山が必要以上に恐ろしいところであると描かれているところです。
この作者さんは登山が好きで好きで仕方ないんだろうけど、誰もが三歩のように達観して山を友にすることはできないし、ツアー気分で気軽に山道を歩く人もいるでしょう。
これを読んで山に登ろうと思う人よりも、興味はあるけど怖いから止めとこうって思う人の方が多いような気はします。
 
ちょっと怖がらせすぎなのかな?というバランスの具合なんですが、私の場合は山に対しては畏怖の感情しか芽生えませんでした。
でも、山に登ろうという人の気持ちは少し分かったような気もします。
多分、街にいたら見えない景色や心の中が、山に行くと見えるんでしょう。
一人悶々と悩んで答えの出ないことが、山に行けば一瞬で分かってしまうのかもしれないですね。
 
巻が進むごとに、話のバリエーションが増えてきます。
高水準安定型ですね。

ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン  評価不能

ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン 17 (80)

ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーンオーシャン 17 (80)

この作品に関しては、一度読んだだけでは全く理解を深めることができていないので評価不能です。
今のところでいうと★3くらいなんですが、最終回の解説を読むと、とんでもない名作という気もしてしまいます。
ラストに関しては確かに斬新かつそれまでの流れから想像もつかない展開で、歴史的な最終回と呼べるものです。
AKIRAとかエヴァとか、そういった壮大な物語に似た雰囲気の、言わば「世界の再構築」というもの。
漫画でそういうことを描いてしまうところが、日本漫画文化の凄さなんですかねえ。
 
総じて言うと、バトルが分かりにくい、スタンド能力が分かりにくい、というのがずっと続きました。
3部や4部の個性的な能力と、それを打ち破るジョジョ側の機転の面白さというのが、5部の終盤からかなり薄れていたと思います。
(マン・イン・ザ・ミラーあたりでかなり無理やり感が強まったと思います)
あと、場面場面がいきなり飛ぶというところも数多く見受けられました。
脱獄のシーンとかは、いきなり外!ですから、もうめんどくさかったとしか思えません。
ジョジョが苦手という方はたくさんいますが、そのエッセンスを更に濃くしてしまったのが、このストーンオーシャンです。
 
風水のスタンドとかよく分からないし、記憶を吹っ飛ばすスタンドを倒す過程もめちゃくちゃだし、
他にも攻撃方法がわからないというパターンばかりで、アイデアの枯渇を感じさせます。
見えないゾンビとか、見えない必要性があるのか?と普通に疑問です。
神父のスタンドの最初の攻撃も意味不明だし、その後使っていないことから、一体あれは何だったのかよく分かりません。
作者の思考回路がぶっ飛びすぎていて、それを絵にして読者に伝えるという過程に限界が訪れたのではないでしょうか。
コミックスにはスタンドの説明が書いてあるページもありますが、その中でも説明しきれていない部分もあり、
作者自身にも完全な定義づけができていないスタンドがあるのは明らかです。
 
あと、赤ちゃんのスタンドは結局なんだったのでしょう?
神父と融合した風に描かれてますが、アキレスと亀の法則と重力って関係ないよね?
なんか急にスタンド能力が変わったり、ディスクで好き放題やったりで、神父の無敵ぶりに引きました。
 
DIOの時間を止める、吉良の時間を吹っ飛ばすなど、
ボスの能力は「時間を支配する」というのが定番となっていました。
神父の最後の能力は「時間を加速させる」
ただその結末は想像を遥かに超えていました。
 
ファン以外の方がいきなり読んで楽しめるような話ではありません。
3,4,5部と読んで着いて行けた人だけが読めばいいと思います。
 

アキレスと亀について
無限に細分化された時間においては、アキレスは絶対に亀に追いつけないとかいうインチキな法則
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BC%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9

平凡ポンチ (1〜4) ★

平凡ポンチ 1集 (IKKI COMICS)

平凡ポンチ 1集 (IKKI COMICS)

IKKIコミックスと言えば、普通の商業誌では描けないようなアバンギャルドな作品を送り出すことで有名ですが、
商業的でないということと、好き放題描くということは違います。
この作品はせっかくアイデアはよかったのに、好き放題描き過ぎたために、駄作になってしまった悪い例です。
 
あらすじは、自主制作映画の監督として崖っぷちの主人公と、女優志望の貧乳少女が、はずみで人を殺してしまい、映画を撮りながら逃避行するというお話。
なんか上手く脚本書き直してアイデアをいい方向に活かせれば、面白い映画が撮れそうな感じ。
ただ、この漫画においては少女の「巨乳に対する憧れ」が不必要に描かれ、せっかくのいいアイデアをぶち壊しにしています。
シリアスなシーンはさすがにこの作者だけあって迫力あるのですが、無駄なギャグシーンや、もはや夢世界のような突拍子もない展開のせいで、全てが陳腐に見えます。
まともな編集がつかなきゃ、漫画家ってのはこういうものを描くのかねえ?
 
とりあえず文句なしの駄作。

ハチミツとクローバー (1) ★

ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

ハチミツとクローバー 1 (クイーンズコミックス)

うわっ、全然面白くねえ!
ページをめくるのが段々速くなり、最終的にパラパラ漫画状態になったところで本を置きました。
全くどこを楽しめばいいのか見当が付かない漫画です。
 
まず、ヒロインらしき「はぐ」というチビが出てくるのですが、これが単にキモイだけの生物です。
これまで色々読んだ漫画のヒロインは、まあ好き嫌いはあるにせよ、「こういうところが魅力なんだろうな」と想像することはできました。
しかし「はぐ」に関して言うと、芸術家肌の変わり者? んで小学生並のチビっ子、かつほとんど喋らない小動物のようなキャラクターで、人間として見ることができません。
おまけに絵の描き方も雑で、もはや「点が3つあれば顔に見えます」という次元で、そういう雰囲気を狙っているにしても酷すぎます。
絵が下手なのは仕方ないけど、それならば持っているもの全てつぎ込んで丁寧に描け!
そんな謎の生物に対して恋に落ちる奴もいるのですが、何かこの作者は、とりあえず芸大だから変な人間描いてもそれっぽく見えるだろうっていう浅はかな狙いがあるとしか思えません。

↓なんか太字だけど1mmも笑うところがないです。

 
1話完結で色んな人物に焦点を当てながら話が進むのですが、なんだこの薄っぺらさは。
食い物ネタしか描くことないわけ?もうちょっと考えようぜ。
全盛期のジャンプなら3話で打ち切りになるくらいのクオリティです。
 

3月のライオン (1〜4) ★★★

3月のライオン 4 (ヤングアニマルコミックス)

3月のライオン 4 (ヤングアニマルコミックス)

羽海野チカの作品は初めて読みました。
東のエデンは見ていたので絵に抵抗感は無いつもりでしたが、
コマ一面に掃射される吹き出しや喋る猫に若干テンションが付いていけず、こんな評価です。
ちょっとゴチャゴチャしすぎて読みにくさを感じました。
あと、デブがテカテカしてるのはちょっと気持ち悪いですーー
 
〜あらすじ〜
親兄弟を事故で無くし、プロ棋士の元へ居候させてもらっていた零は、
中学でプロ棋士となり、高校進学と同時に一人暮らしを始めるようになる。
一人ぼっちになった零だが、偶然出会ったご近所の3姉妹や、棋士仲間との交流もあり、
少しずつ閉じた心を開いていくようになる。
 
まあハチワンよりは遥かに面白いです。
3姉妹のほのぼのした空気をこたつに例え、浸かったら出て来れないとストイックに将棋に打ち込もうとする零ですが、
そうやって一人でなんでもやろうとすることが正しいわけではないのだと段々と気づいていきます。
義父や義兄弟との関係は複雑で簡単に修復できるような関係ではないものの、
零の中にはしっかりと愛情もあり、それを素直に表現するためにどうすればいいのかまだ自分で分かってないようです。
 
この物語の中で語られていることはごくシンプルなことだと思いますね。
零は自分に自信がなく、人に心も開けず、劣等感を押し込め将棋に熱中することで全てを忘れてきた。
でもその将棋で行き詰ったとき、周りの人たちの支えや愛情に気づき、自分も相手に何か与えようと頑張るようになる。
これはありふれたメッセージです。
斬新さもなければ奥深さもない。
この少年の成長だけに留まってしまえば、これはさほど評価すべき作品でもないと思います。
 
ただ零の才能の開花や、3姉妹長女との関係(恋愛フラグはあるのか?)、義姉との関係など、
展開の広がりも随所に感じられ、その複線も張り巡らされています。
核心に迫るのはまだまだこれからという感じですかね。