闇金ウシジマくん (1〜4) ★★★★
- 作者: 真鍋昌平
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2004/07/30
- メディア: コミック
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闇金社長のウシジマくんと、色んな理由で金を借りていく債務者を描いたお話。
基本的には、凄まじくエグイです。ウシジマくんは債務者に何の感情も抱いておらず、金を毟り取ることしか考えていません。
債務者はパチンコ狂だったり、見栄っ張りだったりして、これまた救いようの無いような人間ばかりです。
闇金自体が悪であるのは間違いないのですが、大事なことは、真っ当に生きている人間はそんなものには関わることはない、ということですね。
こういった社会の底辺を徹底的に描くことで、こんな風にはなるなよ、という毒の効いたメッセージを送っているのかもしれません。
最初の方は貸付の手口や集金の方法などを描く、1話完結形式になっています。
新人高田の成長や、闇金社員の人間臭さも随所に描かれています。
特徴的なのは、ウシジマくんが家に大量のうさぎを飼っていることですね。
なんか狙いどころがバレバレなのに、シュールすぎて笑ってしまいます。
徐々に長い話が増えてきます。
ここで語られるのは、闇金のような裏社会の商売には必ずヤクザとの切れない関係があり、
また法律や警察といったいつ来るかも分からない脅威に常に備えていないといけないということです。
ウシジマくんや高田に少しでも感情移入してしまうと、社会の正義と悪が頭の中で逆転してしまいそうです。
ゲイ編は気持ち悪いので飛ばし読みです。
もう一つ、これは街における人間関係の話とも言えます。
裏社会の人間関係もそうだし、子供の借金を肩代わりする親もそうだし、金を工面しようと知り合いに電話をかけまくるのもそうだし、
結局、上辺だけに塗り固められた関係は、金の存在でその本当の姿を露呈するということでしょうか。
そういう意味では、「岳」とはまさに対極にある作品です。
「岳」は、金では買えないような喜びを得る場所、悩んだ末に自分を見つめなおす場所として山があり、
三歩は人間社会のしがらみを全て断ち切った上で、山を媒介として、山に関わる人々と交流しています。
2作品並べて読むと、色々と感じるものがあるかもしれませんね。