G戦場ヘヴンズドア (1〜3 ) ★★★★★

G戦場ヘヴンズドア 3集 (IKKI COMICS)

G戦場ヘヴンズドア 3集 (IKKI COMICS)

漫画家をモデルにしたマンガは数あれど、間違いなくこれが最高傑作。
大物漫画家を父に持つ町蔵と、敏腕編集者を父に持つ鉄男が共に漫画家を目指す物語です。
全3巻、最初から最後まで無駄なコマすらないような内容なので、ストーリー説明は省きます。
 
まずこの絵で多少の好き嫌いは生まれるでしょう。
上手い下手とかいう次元ではない、まさに個性的な絵。
そこに狂気的なまでの言葉の力が合わさり、他に類を見ない作品となっています。
 
これは二人が漫画家を目指す話でありながら、同時に似たもの同士の間に渦巻く同属嫌悪だったり、
その先に生まれる誰も入り込めない友情だったり、ガキから大人への成長だったり、
ともかくとんでもない感情の渦が詰め込まれています。
自分が本当に伝えたいものを言葉や絵にしたとき、
例えそれがある特定の個人に向けられた思いであったとしても、
きっと、たくさんの人の心を震わせるはず。
町蔵が触れた周りの人たちのたくさんの温かい気持ちは、
きっとそのまま町蔵の作品として世の中にたくさんの幸せを運ぶんだろうな。
 
ほとんどの漫画が10冊や20冊かかって描く熱量を、この作品はたった3冊で簡単に上回っています。
逆に言うとこれは、ほんの少しも薄めることができない不器用な物語だとも取れます。
 
この漫画を読むと、少なからず他の漫画に対する見方が変わるかもしれません。
私が過去読んだあらゆる漫画の中でも、ベスト5に入る作品ですね。