GIANT KILLING (7〜14) ★★★★
- 作者: ツジトモ,綱本将也
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/04/23
- メディア: コミック
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その中で選手一人一人の葛藤や成長を細かく捉え、
試合においては個々の重要性と戦術理解の大切さを説く。
もちろん選手個々の能力は大切なんだけど、それを状態も含めて見極めて使うのは監督で、
その采配次第で勝ちにも負けにも転がるような試合ばかり。
その相手監督とタツミの見えない駆け引きが一番の楽しみどころかもしれません。
ピッチの上だけでなく、広報やスカウトの活動、地域のファンとの触れ合いを描く場面もあり、
これだけ大風呂敷広げてるスポーツ漫画なんて他にないと思います。
ただそれがこの漫画の特別なところであり、弱点ともなっていると思います。
どんな読者でも楽しめるようなポイントを作っている分、一つ一つの要素が少し薄い。
そして、「さあこの選手が活躍しますよ」というのを複線張って用意周到に準備しているもんだから、
逆にそのシーンがあったときに「やっと回収したか」というような気持ちになり、
純粋に熱くなったり楽しんだりできないという部分があります。
監督の心理戦のやり取りも、結局どちらが勝ったのか曖昧なままにして
結果通り「引き分け」にすることで後への含みも持たせているのでしょうが、
これがプロのリーグ戦を描く上で最大の弱点とも言える「単調さ」を払拭するには至っていません。
例えば高校サッカーならインターハイとか冬の選手権みたいな大会があって、
本当に強いチームと戦えるのは年1回、3年生はこれがラストだ!とか言って状況でドラマを簡単に作ることが出来ます。
対してこの漫画において、ETUはまだまだ成長途上で、優勝争いするでもなく、少しずつチームが良くなっているに過ぎない。
非常に良くできていますが、熱くなれるような「ドラマ性」が欠けているのです。
一言で表すなら「予定調和」
これが崩せないと、スラムダンクとかの次元にはいけないかなぁ。
他に気になった点
・外人がだいたい馬鹿
ちょっとこれは失礼すぎるんじゃないかと。
・ピッチの広さが感じられない
コマ割りとかアングルの問題ですが、上空やスタンドからピッチ上を眺めているような視点がほとんどないんじゃないかな。
王子のスルーパスの凄さなんかが分かりにくいし、サイドチェンジしたときの位置関係も分かりにくい。
なんか1vs1ばかりやっている印象があります。これがいまいちゲームに入り込めない要因かもしれません。
非常に面白い作品ですが、読めば読むほど不満点も浮き彫りになりますね。
今のところはまだ面白さが勝っていますが、14巻もかけている割には…という感じもしてきました。
そして今後の不安として、選手個々の成長を余りに描きすぎると、普通にチームが強くなってしまい、
結果的にはGIANT KILLINGでもなんでもなくなってしまうという…
さてこのジレンマにどう回答を出してくれますかね。