GIANT KILLING (1〜6) ★★★★

GIANT KILLING(1) (モーニング KC)

GIANT KILLING(1) (モーニング KC)

久しぶりにスポーツ漫画読みました。
タイトルの「ジャイアント・キリング」というのは、弱小チームが強豪チームを破るという意味です。
主人公のタツミは、2部降格圏ギリギリを彷徨う弱小チームETUを率いて、チーム改革を目指します。
あ、ちなみにサッカーです。
 
おお振りサッカー版みたいな感じですね。
主に戦術、チームワーク、個人の潜在能力の引き出し、そういったものをいかにタツミがやれるかを描いています。
純粋に監督が主人公な漫画って珍しい?
タツミは普段は何を考えているのか分からないような人物で、思い切った選手起用などでベテラン選手から反感を買っています。
しかしその裏では徹夜で相手チームの研究をしたり、細かく人間観察をして選手の起用法やポテンシャルを鋭く見極めています。
こういうのをあえて言わず、監督がどうとかではなく、選手個々が、また選手一同がどういう風に考えて試合をするのか、というのも一つのテーマです。
結構好きなテーマですね。いわばスポーツとしてやっていたものを、「戦う」ということに意識改革するというような。
日本人にありがちな遠慮とか、プレッシャーに弱いとか、戦う面では不要な部分を強みに変えていくような面白さがあります。
 
例えば一人で練習しているときは凄いプレーをしている椿という選手。
彼は根っからのチキンで、試合のプレッシャーに晒されるとミスばかりしてしまいます。
彼をほったらかしでプレーさせて色々考えさせたり、大事な試合ではたった一つの指示を与えて、その良さを引き出してあげたり。
そんな中ディフェンスで頭にシュートを食らってしばらく耳が聞こえなくなった椿は、
選手たちの声や、サポーターの声援といったプレッシャーの要素をしばし忘れ、練習通りのプレーをしてスタジアムを沸かせます。
こういった、タツミの思惑通りだけではなく、選手が自分で考えることや、ちょっとした偶然の要素も入ってくることが良いポイントですね。
 
一人ひとりがどのように考え、どのように成長していくか、
またそれがチームに対してどのような影響を与えているのか、そういった細かい積み重ねで成り立っている漫画です。
一つの重大な結果をもたらすために、彼らがどのような努力を経てきたのか、スポーツ見ながらこういうことを考えるのもいいもんですね。
 
一つ難点を言いますと、1試合1試合が短くて、その中にあまりのめり込むことができません。
まだ序盤なので、チームとしての成長よりも、個々にスポットが当てられている感じです。
これで彼らがチームとしてまとまり、タツミが本音でがっつり熱くなれるようになると、突き抜ける気がしますね。