悪魔とラブソング (6〜9) ★★★★

悪魔とラブソング 9 (マーガレットコミックス)

悪魔とラブソング 9 (マーガレットコミックス)

ラストはお決まりのすれ違いになって残念ですが…
 
マリアとあんなの関係は、暗いなあ重いなあと感じるんですが、
その中でお互いが気づくことというのが、なかなか他の漫画にはないもののような気がします。
二人だけの関係だったはずなのに、マリアには知らないうちに大切な人の輪が出来上がっていて、
あんなは声を失いマリアを失い、更には二人だけのものと思っていた気持ちまで失ってしまった。
だからあんなはマリアを大切に思いながらも、マリアを一人にして、自分のところまで引きずりおろしたかった。
愛情とか嫉妬とか憎悪とか入り混じってぶつかってから気づく、本当の自分の気持ち。
二人の別れはそっけないものですが、後味は悪くありません。
 
マリアはその昔、母親が自分を抱いたまま自殺してしまったのを心の奥で覚えていて、
肌が触れ合うことを本能的に恐れたり、抱きしめられると過去の辛い記憶を思い出してしまうそうです。
へえ。
このことで目黒は、恋人にはならないけど傍で見守るというような意味不明の自己完結に陥ります。
しかしマリアは、新キャラエロス(本名黒須)の過剰スキンシップのせいで、
触れ合うことが相手への愛情表現であるということを受け入れられるようになってきます。
そんな中で目黒は一人思い悩み、自分勝手に人の恋まで邪魔しようとしています。
しかもそれを単なる嫉妬ではなく、「マリアのためなんだ」とか理由付けをして、自分を正当化しています。
まあそれがギリギリのところでキモイになっていないのが救いですかね。
(いや、海のシーンとか若干キモイか?)
 
後半にかけて、マリアの性格がかなり変わってきます。
特に相手を怒らせてしまったときに、必死に言い訳したりしてかわいらしくなります。
ツンデレのデレとはこうあるべきだ。
この変化がなだらかで自然に見えるのはいい点ですね。
嬉しい、ありがとう、そういった言葉をもらえると、自分の嫌だった部分だって好きになれるかもしれない。
だからもしかしたらマリアは、言い訳したり人前で泣いたりする弱さを、隠す必要がなくなったのかもしれません。
  
うーむ、どうも私は音楽モノに弱いようです。
といってものだめ、BECKくらいしか知りませんが。
凄い演奏や歌声を聴いたときに、何も言葉にできないくらいの感動があるってことを知っているから、
マリアが思わず口ずさむ賛美歌や、目黒の「音楽で気持ちは伝わる」という言葉に思わずやられてしまいます。
 
クラスメートとの対立や掴み取った和解や、あんなとの本音の戦いなんていう深いシーンが続いて、
そのあとのエロス編のノリの軽さに若干戸惑ったけれど、ギリギリベタにならずにまとまっていると思います。
次が最終巻ぽいですね。これは最後まで読みたいと思います。