ちはやふる (8) ★★★★★

ちはやふる(8) (BELOVEKC)

ちはやふる(8) (BELOVEKC)

〜あらすじ〜
クイーンへの挑戦権を賭けた試合の中で、千早は気負いすぎ自分を失い、敗北してしまう。
その自分の未熟さに落ち込みながらも、それを自覚し、再び練習に励む日々。
そんな中行われたクイーン戦、名人戦を見て千早が得たものは…
 
 
まあなんか特別な出来事があったり、進展があったりとかはしないです。
千早x太一の恋の行方なんかももう少しクローズアップしてもらいたいところなんですが、
やはり新が遠くにいるという現状が太一に先へ進むのをためらわせているんでしょう。
1巻で卑怯だと言われたことを恐らくずっと気にしていて、
千早を巡る勝負に関しては正々堂々としていたいという太一の気持ちが見て取れます。
まあ近づいてくる不穏分子はしっかりと排除していますが。
 
さてこの巻では、7巻までのレビューで不満に思った点がほぼ解消されています
一つ、戦略的な説明が多すぎる点、二つ綺麗な絵を活かしきれていない点。
精神論やその人が経てきたバックグランドに焦点を当て、
強くなるためにはどうすればいいのかを抽象的ではありますが、しっかりと描いています。
残念ながらこの作者には、台詞一つで読者を感動に浸らせてしまうような才能はありませんが、
代わりにそれ以上のものを伝えられる画力を持っています。
この巻ではそれをいかんなく発揮してきましたね。
 
終盤になって、少し詠み手に焦点が当てられるのですが、それが名人の強さの秘密にも繋がっていると読み取れます。
単に言葉として歌を聴くだけでなく、詠み手と一体になるというか、歌と一体になるというか、
そういう特別な才能が圧倒的な強さに繋がっているという感じです。
肉まん君が、千早はクイーンよりも名人を目指せと言っていますが、
この名人の戦いを見て千早がこの先どういう風に成長していくのか
そして本格的にかるたに復帰した新が名人に負けないような何か特別な才能を発揮させるのかどうか
今後に期待させる終わり方でした。
 
一つ苦言を呈しますと、千早の私服がイマイチでした。
和装の方が全然似合いますね。