半分の月がのぼる空(6) ★★★★★

〜あらすじ〜
裕一と里香は退院し、里香は高校に通うことになった。そして、裕一はダブった。友人たちはすぐそこにまで迫った未来に不安を抱えながらも先へ進んでいく。
 
まあ、中身ないですね。里香が高校へ通うようになってからの、いろんなエピソード集とでもいいましょうか。
しかしこれがなかなか面白い。
1年に編入した里香はその容姿も相まって、学校では特別扱い。それが気に食わない女子生徒とのバトルもあったりで、過去5巻にわたって丁寧に描かれてきた里香の性格が更に輝きを増しています。
 
里香の特徴としては、細く、色白で、サラサラの長い髪が綺麗で、黒目が深く濃く大きく、唇はプックリと・・・・ あああ、とにかく容姿はハンパなく美人だということです。
対して性格は意地悪で、すぐ人をバカにして、決して譲らず、媚びず、常に毅然としています。
人に物事を頼むときにあっさりと土下座するくせに、その恩を1分後には「忘れた」とか言ってしまうような性格です。
なんでしょう、なんでこの子がこんなに魅力的に見えてしまうのか・・・
 

この作品の特徴として、登場人物それぞれの一人称視点に突如として切り替わり物語が進む場面があります。
基本は裕一ですが、夏目、亜希子さん、司、みゆき、そして新キャラまで、めまぐるしく視点が変わり、それが全く違和感なく、自然に読めるように配置されているのが上手いです。
そして6巻では、裕一が父親とのことを思い出すシーンがありません。
これは意図的なことなのか、単に書く機会がなかっただけなのか分かりませんが、今を生きている、未来に進んでいるという暗示なのかもしれません。