リリアとトレイズ(Ⅰ.Ⅱ) ★★★

アリソンとヴィルの娘、リリア。
フィオナとベネディクトの息子、トレイズ。
微妙な関係の二人が旅行に行くお話です。
 
読み終わった感想を言えば、ヴィル、汚くなったな・・・というところでしょうか。
任務の為に、国自体の揺らぎ、もしくは両国間の外交的な問題に発展させないためには、多少の犠牲者は止むを得ないという考え方。
アリソン3下で、アリソンパパを褒め称えていたヴィルですが、その狂信的なまでの「国家へ対する想い」は、やはり通常の日本人感覚からすると違和感として残ります。
アリソンは相変わらずです。寝起きとか、かわいいです。
 
対して、そのかわいいママに押され気味なのがリリアちゃんです。
多少ツンデレぽい場面もありますが、アリソンの「意思の強さ」に比べると、単に子供っぽいだけの印象です。
トレイズはリリアの尻に敷かれていますが、かなりのしっかり者ですね。
一国の王子だけあって、普通なら「そんなの許せるか!」と言うところを、大義のためならと飲み込んでしまうことができます。
悪いところがヴィルに似ている?とも言えますね。
 
このヴィルとトレイズに見られる特殊な価値観が、「リリアとトレイズ」をただの青春アドベンチャーではない、何かいびつなものに成り立たせています。
ライトノベルっぽくない、大人の事情の汚さを物語の主軸として通してしまうのは、キノのシュールな理不尽さとも重なるところでしょうか。
「アリソン」では、アリソン萌えがそれを上回っていたので問題なしでしたが・・・
 
というわけで、今後はいかにリリアちゃんが魅力的なキャラクターに成長するかにかかってくるでしょう。
 
サイドストーリーの「遺書」は、なんとも染み入る話で、益々アリソンの存在感が際立ってしまいましたが・・・