リリアとトレイズ(Ⅴ、Ⅵ) ★★★

リリアとトレイズはそれぞれ2巻ずつのストーリーがあり、足りないページはサイドストーリーがこっそり載せられています。
それがいいときもあれば、すごくやっつけに感じることもあります。
1巻にまとめれたんじゃね?と思うことも… それは少し不満な点でしょうか。
 
〜あらすじ〜
スー・ベー・イルの王女マティルダ様は、ロクシェを公式訪問した後、お忍びでイクスへ旅行し、母国へと帰途へ着きます。
その護衛には、ヴィルたちが当たっており、トレイズはイクスのガイドという名目で〜対外的には〜列車に同乗しています。
アリソン&リリアは旅行のために、ヴィルたちの列車と同じ路線に乗り込み、またその近くではスー・ベー・イルより送り込まれた刺客による良からぬ計画が進行中なのでした・・・


まず総括をします。
話がまとまっていない!
そもそも「リリアとトレイズ」という話なのに、ほぼヴィルが主人公状態です。
どっちかと言うと、ヴィルやその仲間たち、過去の因縁などを丁寧に描いてしまった方が面白い話になりそうです。
トレイズは情けない場面ばかりが目立ち、リリアは単なるおしゃべりな女の子。
最後にとってつけたように活躍のシーンが与えられますが、もうオマケ状態で、タイトルに偽り”あり”な印象となっています。


さて今回はヴィルとその部下の活動や会話シーンが多く書かれていて、その人間性や出自まで掘り下げられています。
犯人に揺さぶられるシーンもあり、見所は多いです。

しかし・・・かなり無駄な感じがする犯人のキャラクター性や、ラストシーンのグダグダっぷり、また結局重要な部分が進まないリリアとトレイズの関係性など、描くべき点を少し誤っているのではと感じました。


裏で何か陰謀が進行中・・・という複線部分はドキドキ感があって良いのですが、いざ本編となるとそれらを生かしきることができず、かつストーリーの都合上、主人公であるべき人が主軸となって物語が進まない、というチグハグな内容です。
 

全ての理由として、
結局アリソン&ヴィルという存在が大きすぎて、リリアとトレイズはその続編を受け持てるだけのキャラクターになりえなかった。
ということでしょう。

続編を書くには致命的だったかもしれませんね。