神様のメモ帳(4) ★★★★★

神様のメモ帳〈4〉 (電撃文庫)

神様のメモ帳〈4〉 (電撃文庫)

見事なクロスオーヴァーというところでしょうか。
フェケテリコのこんな登場のさせ方はズルイ。
さよならピアノソナタを先に読んでいる読者にとっては音がなんとなく想像できて、
ああ、あれが4代目やアリスですら納得させてしまうのか
なんて胸が熱くなってしまって、もう杉井氏の思う壺なのです。
 
今回の話は、青春群像劇としても、よくできた謎解きミステリーとしても、非常に秀逸。
読み返してみるとキーワードはあちこちに散らばっているのだけれど、
やはりアリスがそれらを拾い集めて言葉にしてくれるまでは全てに気づくことはできませんでした。
上手いなぁ、上手すぎる。なんていう展開力の技。
   
ナルミの見所は多いのですが、個人的にうぉっと思ったのは、テツ先輩と少佐がカチこみの相談をしているところ。
こいつら、危ない話をいい女の裸見るようにニヤニヤしながらするもんだから、恐ろしい。
ヒロさんは、なんかナルミとアリスの保護者みたいになってきましたね。
 
このシリーズの中ではダントツで面白い巻。
人間関係を重視して描いている話なのだけれど、この巻でかなり補完されて、この先どうやって広げていくのか興味があります。
杉井氏はファンタジーよりも、こういった現代青春劇の方が面白いので、是非このシリーズは続けてもらいたいです。