円環少女(11) ★★★

大好きなシリーズだっただけに、この巻は少し期待外れというか、マンネリ感を感じてしまったのが残念。  
前巻でもたらされた状況がカオスだったので、その続きである今巻は、ヘドロに足を突っ込んだようにぐちゃぐちゃな内容です。
結局王子護と協会の関係性も曖昧なままだし、神聖騎士団は神意という言葉の元に、真の目的を隠している。
公館は眼前の問題に対処するだけでなく、それが成功した先のことを見据え、
更に連絡の取れない仁の動きなども計算に入れたギリギリの駆け引きをする。
仁たちは最も切羽詰って、多くの人に犠牲を強いらないと、もはや立ち回れなくなっている。
 
こんな中でも一切自分の芯を揺るがせないメイゼルは、やはり清清しく眩しいです。
逆に、力を得てなおその責任から逃れようともがくきずなは、この期に及んでなおの姿勢に気持ち悪くなってきます。
あとは仁の一貫性の無さ・・・ これを人間味と取るかは人それぞれだと思いますが、私は少し違和感として残ってしまいました。
 
ともかく、相変わらず濃密で複雑な異端ライトノベルでありますが、
この巻では特に、描写が回りくどくて分かり辛い印象がありました。
特に魔法による戦闘の描写は、文章だけで表すにはかなり辛い感じがします。
少しシリアスな感じでマルチメディア化すると、意外とハマるのではと思ったりしました。
  
ラスト、これで終わりというのも円環少女らしい!?と思いましたが、
物語はまだまだ続くようです。これからがクライマックスだとか。
何より「楽しめる話」にするために、著者には、ある程度の状況整理をお願いしたいです。